| ◎ 平成22年 5月7日(金 ) 「うれしくて、うれしくて、……」 |
| 花が咲いた。…… 今朝、突然に、花が咲いた。…… 晴天続きの黄金週間も開けた、5月7日朝、しとしとと雨が降って いた。朝刊を取りに行くと、花がひとつ、大きく、はっきり、堂々 と、雨の中で光っていた。我が目を疑った。昨日までは、細い楊枝 のようなつぼみがついているだけで、咲くようすは少しもなかった。 ……それが、今朝、突然に咲いた。 予想だにしないことが、それも待ち望んでいたことが、一夜にして 起こりえるのだ。ない知恵で、ああだこうだと決めてかかるのは間 違いなのだ。 * この花にはドラマがある。…… 半年ほど前、あるおばあちゃんから、大きなポリのゴミ箱で育てた 桜が大きくなり、どこかへ植え換えてもらえないかとの相談があり ました。色々とあたり、ようやく某所に植え換えることが出来、そ して、今年の四月、花をつけたこの桜の写真を撮り、おばあちゃん に差し上げました。 すると、おばあちゃんは、とてもとても喜んで下さり、その上に、 ある花の鉢を、私に差し出されました。そして、こう言われました。 「以前、なり山さんが来られた時に、このめずらしい花の名前は何 ですかと聞かれ、きれいですねと何度もいわれたので、わたしもう れしくなって、今度来られた時に、種から育てたこの花の鉢を差し 上げようと思っていました。そして、今日うれしい私の桜の花の写 真を持って来ていただいて感謝のしようがありません」 それを聞いて、私は、胸があつくなりました。 「ありがとうございます。この花は、頂くのではなく、お借りする ということで、一生懸命育てていきます」…… その時の花は、少し茎がのびた程度でした。 その日から、せっせと水を遣り、すこし大きくなったらなったで、 虫がついてはと殺虫剤を買い、また、伸びた茎を支える輪っかを買 い、おばあちゃんの思いに応える日々が続きました。 * そして、今朝、突然に花が咲いた。 じわじわ来るのではなく、一気に来た。 しあわせという感覚もこうかも知れない。 じわじわではなく、きっと一気なのだ。 私は、うれしくて、うれしくて、……まずは、この水々しい一輪の 花をカメラに収めた。 * 花は、何故咲くのか。―― それは、咲こうとしているから咲くのだと思う。 本気というこころ。必死というこころ。 これらの意志があるからこそ咲くのだと思う。 そして、育てる人のこころが重なった時、尚一層、美しさが増すの ではないだろうか。…… * この花の名前を憶えていない。名前なんか、どうでもいい。 この花の心をめでよう。 この花の名前は、おばあちゃんの名前にしよう。 今度、おばあちゃんのところへ行ったとき、こっそり、 おばあちゃんの名前を聞こうと思う。 |
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